刺しゅうPRO フォトステッチでシン・ゴジラ(完)



シン・ゴジラ
サイズ:350mm×350mm
199,354針(1色)
ミシン:brother PR1000e
アプリ:Photoshop CC2015、刺しゅう PRO(刺しゅうプロ)10
制作:Akihito Kouno







brother 刺しゅうPRO 10 のフォトステッチ機能を使って、
作ったフォトステッチデータを、
昨日から brother PR1000e で縫製しはじめました。

お待たせしました。
シン・ゴジラ。
後半です。

昨日はここまで。
上半分だけ縫い上がっているので、
後半、下半分の縫製を進めます。




ちなみに、
ゴジラつながりではじめてフォトステッチを見ていただいている方のために、
簡単な解説を。

ミシンは服や鞄を作るだけではなくて、
刺しゅうをするためにも使われています。
刺しゅうができるミシンは「刺しゅうミシン」と呼ばれていて、
家庭用の比較的廉価なものから、
工場などで使われるような巨大なものまでたくさんの種類があります。

今回は、
職業用としても使われているけれど、
趣味の道具として一般の家庭で使っていただくことも少なくない、
「brother PR1000e」という刺しゅう専用機で縫製してみました。

刺しゅうミシンで縫製するためには、
「刺しゅうデータ」というものを作らなくてはなりません。
「刺しゅうソフト」と呼ばれるコンピュータ用のソフトウェアを使います。
ミシンメーカー各社からリリースされていますが、
今回、使ったのは「brother 刺しゅうPRO 10」。

刺しゅうソフトのなかでも比較的価格が安く、
使い勝手がいいこともあって、
日本でいちばん使われているソフトです。

とくに、
このような「写真を刺しゅう化する」機能に関しては他の追随を許さない。
このソフトの独壇場です。

写真をコンピュータに取り込んで、
刺しゅうソフトで刺しゅうデータに変換する。
その刺しゅうデータをミシンに送って、
縫製することを「フォトステッチ」とか「写真刺しゅう」と云います。

今回のシン・ゴジラは、
オリジナルサウンドトラックのジャケットをスキャンして、
刺しゅうデータ化したものを使いました。




完成している上半分と位置ずれしていないか確認しながら、
残る下半分をごんごん縫製していきます。




3割ほど縫い終えたところ。




上半分が100%で下半分が70%。
あえて70〜80%くらいで縫製を止めてしまう、
そういうのもおもしろいかも!

でも今回はせっかくなので最後まで縫い上げてみましょう。




そして、じゃーん、完成したのがこの刺しゅう。
トータルの縫製時間は7時間半、といったところ。

大隅ブラザーのフォトステッチは、
たくさんの色糸を使ったきれいなグラデーションで、
ごく一部の方面で有名です(お、自分で云った!)。

今回も当初は50色のフルカラーの設定や、
20色くらいのセピアトーンのステッチを考えていたのですが、
色があると、このゴジラ、どうしても甘くなるのです。
飼い主に愛されてるわんちゃんを刺しゅうしてみました、っぽくなる。
そんなゴジラは、ううう、見たくない。

というわけで、
試行錯誤の末、思い切って黒糸一本だけの設定でデータを作ってみると、
あら、けっこういいんじゃない?

細部の表現より、生命体を超えた生命体、
そのごつんごつんした怖さを意識してみました。
なかなかの冒険でしたが、
それなりの雰囲気が表現できているのではないかと。
どうですかね。

「シン・ゴジラ」のロゴ、
マニュアルパンチでデータまで作っていたのですが、
迷いつつ、最終的にはこの刺しゅうには入れないことにしました。
やはり、写真刺しゅうには文字が入らないのが好きなんです。
個人的に。




一色だけの写真刺しゅうというのは乱暴といえば乱暴で、
拡大するとなんのことやら、わからない。

しかし、複雑なステッチで濃淡を表現しようとする、
刺しゅうソフト brother 刺しゅうPRO はすごいね。
100万円を超える刺しゅうソフトでもこうはいかないよ、たぶん。

細部だけ見るとなんだかわからないけれど、
全体として眺めるとひとつの姿を現わす、という強引なステッチ表現。
それがまたこのゴジラに合ってるんじゃないかな、とも。




額装してみました。

大きさ比較のため、
額の手前に家庭用ミシンの一般的な糸コマを置いてみました。
こうして見ると、大きいね。
このくらいのサイズがあると「迫力!」が表現できます。

オリジナルサウンドトラックを聴きながらの縫製。
先週、鹿児島ミッテ10 で 19:30 と 21:30 の2回観てきましたが、
はあ、また観たくなりました、シン・ゴジラ。