刺しゅうPRO フォトステッチ Maltese Dog Puppy



お待たせしました。
今回の刺しゅうは Maltese Dog Puppy です。

サイズ:350mm×501mm
685,839針(50色)
ミシン:brother PR1000e
アプリ:Photoshop CS5、刺しゅう PRO(刺しゅうプロ)NEXT
写真:Maltese Dog Puppy (by VIKTOR HANACEK)
制作:Akihito Kouno





大隅ブラザーのフォトステッチは、
よく「髪1本まで表現しているね」と云われるのですが、
今回はそういう「細部がいかに表現できるか」ではなく、
がつん、とインパクトのある刺しゅうを目指してみました。
製作時間46時間の作品です。

ここまで大胆に全体をオレンジ色で縫い込んだのははじめて。

この写真を最初に見たとき、
「日曜日の夕暮れ時に庭で遊んでもらっているところだ!」
というマルチーズの物語を(勝手に)思い浮かべてしまったのですよね。
なので、
元の写真以上に人物もわんちゃんも橙色に染まってます。

意図と理屈で突き詰めていったというより、
あの夕刻のせつなさに思いを馳せていたら、
「そういう雰囲気」に自然になっていったという感じ。




大きさ比較で、
brother COMPAL 900 と並べてみました。

でっかいね(笑)。
COMPAL も家庭用ミシンとしてはかなり大きなサイズなのですが。

フォトステッチの入り口は、
「写真が刺しゅうで表現できるんだ!」ですけれど、
「いかに写真画質に近づけるか」を考えすぎると、
「つらいなあ」と感じてしまうかもしれません。

刺しゅうは糸の太さや走りピッチという制限があるので、
もともと微細な表現には限界がある。

「写真を元に自分のイメージでステッチするもの」と考えるほうが、
作っていて楽しいのではないかなあ。

写真は写真、刺しゅうは刺しゅう。

フォトステッチを前面に押し出している刺しゅう屋さんが、
すこしずつですが生まれてきてるでしょ。
たとえばおなじ写真を10人の作家が「せーのー」で刺しゅうしても、
まったくおなじ作品には絶対にならないと思う。
10通りの個性的な作品が生まれるのではないでしょうか。

で、刺しゅうを見れば、
「これはこの人の作品で、あれはあの人の作品だ」
そういうことも一目瞭然だったりするんじゃないかと想像します。

繊細な人は繊細な刺しゅうをつくるし、
大雑把な人は大雑把な刺しゅうをつくる。
乱暴な人は乱暴な、やさしい人はやさしい刺しゅう。

作品からにじみでる個性というのはそういうものだし、
それがおもしろくもあり哀しくもあり怖いことであり、
なによりすばらしいことだと、大隅ブラザーは思います。




ミシン刺しゅうやフォトステッチに興味のある方を中心に、
閲覧していただいているこのウェブログですが、
「自分の大切な家族を刺しゅうにしてもらえますか?」
という問い合わせがすこしずつ増えてきました。

みなさん、たいへん遠慮がちにお問い合わせいただきます(笑)。

たしかに大隅ブラザーは「技術を教える」ミシン専門店ですけれど、
「裏メニュー」的にフォトステッチの注文も受け付けています。

戦闘インストラクターのジェド・豪士だって、
ときには(しばしば?)ボディーガードを引き受けたりしますもんね。

お時間をいただくこともあるし、
「低価格で大量生産」をうたうわけにはいきませんが、
「渾身の力を込めた大切な1枚を、ぜひ」という方がおられましたら、
遠慮せずご依頼ください。

大隅ブラザー風味ですが、いい刺しゅう、つくりますよ。




と、もうすぐ4歳の営業部長が申しております。